『美術手帖』2026年7月号への寄稿と、これまでの執筆の軌跡
- Arts&Considerations Tomoki Sakuta

- 4 日前
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更新日:2 日前

こんにちは、Arts & Considerationsの作田知樹です。日頃より、当事務所の活動に関心を寄せていただきありがとうございます。
このたび、本日発売の『美術手帖』2026年7月号(総力特集:「21世紀の現代アート事典」)において、4本論考を寄稿いたしました。当事務所は、アートの「現場(フィールド)」と法や行政といった「システム」の間をつなぐ、メディエーター(翻訳者)としての役割を重視し活動を続けております。今回の寄稿も、まさにその交差点で起きている事象を記録し、今後のためのインプットとして整理する目的で執筆に向き合いました。
本誌寄稿の内容について(2026年7月号)
今号の特集は「これからのアートの世界を読み解くためのガイド」です。私の担当した「PART.3 社会にとってアートは必要か?」のなかで、現代の表現環境を取り巻く以下の重要な4トピックについて解説しています。
「民間インフラによる「検閲」」(p.65)
「アプロプリエーション・アートと著作権」(p.66)
「アート市場とマネーロンダリング規制」(p.65上段)
「NFTとAI―所有の幻想と創作の曖昧化」(p.65下段)
アルゴリズムや金融インフラによる表現規制
「民間インフラによる「検閲」」では、SNSのアルゴリズムにより美術作品やパフォーマンスが表示できなかったりアカウント停止になる問題と、金融検閲(Financial Censorship)とも称される、決済プラットフォームやクレジットカード会社の利用規約変更により、特定の表現が実質的に流通できなくなる問題を論じています。表現の自由を、公権力による検閲だけでなく「民間の金融・インフラのレイヤー」から捉え直す必要性を論じています。レッシグの言ういわゆるアーキテクチャによる規制そのものではないけれど、類似点がみえるような形ですね。
プリンス肖像写真作品事件
また、「アプロプリエーション・アートと著作権」では、2023年5月米国連邦最高裁で判決が下された、アンディ・ウォーホル美術財団 対 リン・ゴールドスミスの事件を取り上げて、現代アートの文脈におけるフェアユース(公正利用)の境界線と、著作者の権利についての現在地を整理しました。また同財団が視覚芸術の活動を支援していることについても触れています。
NFTアートの「徒花」と、先駆けた日本の若者たち
ダミアン・ハーストの『The Currency』(2022年)に先んじて、2021年5月に物理的な作品を爆破・焼却しNFT化する試みを敢行したクリプトアートジャパン「燃えるアート展」の実践。時代の徒花として埋もれさせるには惜しい、無謀かつ挑戦的な記録を留めました。
『美術手帖』におけるこれまでの寄稿の軌跡
過去のアーカイブを整理し、時系列順にこれまでの執筆履歴をまとめました。
発行年月 | 特集名 | 担当内容・タイトル | 概要・テーマ |
2009年10月号 | アーティストになる基礎知識 | 「Arts and Law」代表、作田知樹さんに聞く! | アーティストの自立に向けた法制度の基本知識。 |
2011年10月号 | アーティストになる基礎知識:実践編 | 知っておきたい著作権の基本とは? | 実務的な視点からの契約・著作権の基礎知識の解説。 |
2020年4月号 | 「表現の自由」とは何か? | 図解|現代日本の文化政策基礎講座、事件簿トピック | 「あいちトリエンナーレ2019」以降の状況を受け、文化政策の歴史と仕組みを解説。 |
2026年7月号 | 21世紀の現代アート事典 | アート・アクティビズム/表現の自由/世界のメディア・批評 | フェアユース裁判、金融検閲、NFTアートの歴史的実践の記録。 |
メディエーター(翻訳者)としての視座
2009年・2011年の特集ではアーティストの自立に向けた法律の基本を、2020年の「表現の自由」特集では制度の基礎を紐解き、そして今回2026年は著作権法や金融インフラといったよりグローバルなシステムとアートの衝突を描き出しています。
私自身、日頃から米国の文化政策の動向や、知的財産権の調査、さらには障害とアートに関わる権利擁護など、多様な現場に関わらせていただいています。
今後も現場の切実な声と、それを支える(あるいは時に抑圧する)システムとの間で、緻密な「翻訳作業」を続けていく所存です。
今号の『美術手帖』は、他の豪華執筆陣の皆様の論考が非常に充実しており、間違いなく「必携」のガイドブックに仕上がっています。ぜひお手に取ってご覧ください。
【書誌情報】
雑誌名:『美術手帖』2026年7月号(Vol.78 No.1110)
特集:21世紀の現代アート事典(これからのアートの世界を読み解くためのガイド)
出版社:株式会社美術出版社



