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報告書「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」公開のお知らせ

更新日:4月9日

このたび、弊所代表の作田知樹が執筆を担当した報告書が公開されましたのでお知らせします。

 

「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」


令和 3 年度文化庁と大学・研究機関等との共同研究事業「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」の報告書が完成しました。作田知樹はアメリカを担当しております。


〇サマリー版

https://drive.google.com/file/d/19HwSFGDV7XLPiOWjD5mbZ5NTNfXGkWEK/view?usp=sharing


〇報告書本編

https://drive.google.com/file/d/1XOSgk5ru4mCNRxng3aaFs_eZHW2AFW23/view?usp=sharing


〇調査対象国

日本、英国、アメリカ合衆国、ドイツ連邦共和国、フランス共和国、大韓民国


各国の調査・分析では、コロナ禍における各国政府の支援や対応とともに、

1.芸術家・文化芸術団体・関係スタッフの活動基盤整備

2.文化領域におけるデジタル技術活用の可能性

という2点の考察に重点を置きました。

また、3.長期的な視点から、文化政策の構造変化についても明らかにすること

を試みています。

この第 3 の論点については、数年程度の短期間で拙速に結論づけることは控えなければならず、この考察について本報告書は、中間報告的な位置づけとしています。


本報告書が、諸外国と日本の現状の把握を通して、日本の文化政策のさらなる充実について広く議論するための素材を提供できれば幸いです。


《研究会メンバー》

秋野 有紀(ドイツ連邦共和国) /朝倉 由希(日本)/菅野 幸子(英国)/作田 知樹(アメリカ合衆国)/長嶋 由紀子(フランス共和国)/閔 鎭京(大韓民国)


《研究会ウェブサイト》

https://sites.google.com/view/icscp/

 

以下、作田知樹よりのコメントを紹介いたします。


アメリカは全米芸術基金NEAはあるけれども連邦政府に文化担当の省庁はなく、中央政府による統一的な文化政策はないし、民間からの支援の方がはるかに金額としては大きいです。けれど、地方の芸術振興について中央政府が法律上、予算を分配する仕組みがあります。それが、NEAの設置法において定められた「NEAに与えられる助成予算は自動的に40%は地方政府(主に州レベル。正確には州、ワシントンDCなどの州レベルの行政区、広域(複数州をまたいだ公的芸術行政団体が7つある)の合計62団体)の芸術部局に(国勢調査の人口比率などを勘案して)割り振られる」というルールです。そしてコロナ禍における2回の大型緊急助成予算の配賦においても同じ地方配賦ルールが適用されました。こうしたルールのもとで、さらに、これまで必須だったマッチンググラント(助成してもらう金額と同額以上の予算を別の財源から確保する)ルールの撤廃や、団体運営費は助成対象にできないというルールを緩める方向への拡張をすることで、コロナ禍に対応しました。

言ってしまえば既存の枠組みを使っただけですが、「コロナ禍で急に予算がついたので、この機会に、分野全体の環境を改善したい」といった、ある意味で理想主義的な思惑抜きに、「今までの枠組みを少し柔軟にするだけで、現場に早くお金を配る」ことに注力したという印象です。

日本では「文化芸術分野の近代化」とか「DX」とか「進歩的な取り組み」などを条件にした新しい助成金ができましたが、全くこれまでとは違う枠組みだったために、申請する方にしても審査する方にしても新たな混乱を生んだ印象があります。(あくまで印象であり、このあたりの検証はおそらく文化庁自身はやらないでしょうから、芸術団体(統括団体など)が文化政策の専門家と組んでやるべきではないかと思います。)

アメリカの仕組みは独特ではありますが、日本の文化行政も(三位一体改革の前の博物館などの例外をおけば)中央からの独立性が高い分野なので、これからの地方と中央の文化政策のあるべき関係という点では参考になると思いますし、今後AFFをはじめとする新たな枠組みが継続されるのか、そして昨年のAFF採択の5割が東京(周辺まで入れればそれ以上)というアンバランスをどうリバランスしていくのかという対策のヒントにはなるのかなと考えています。

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