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法人制度も文化政策である――持続可能なアーティスト・コミュニティをどうつくるか
Artist Corporations Foundationのウェブサイト 2026年8月12日、米国コロラド州で、アーティストの活動に特化した新しい法人制度「Artist Company Act」が施行されました。 Colorado Artist Companyは、既存のLLC(有限責任会社)を基礎に、芸術的ミッション、アーティストによる組織支配、作品や著作権、外部出資、構成員の離脱や死亡、解散時の権利処理などを扱う制度です。現在、州務長官による設立書式やシステムの準備が進められており、実際の設立受付は2027年に向けて整備される予定です。 ※ここでいう「アーティスト」は美術作家に限られません。州法は音楽、文学、映画、舞台芸術、デジタルコンテンツなどを広く対象としており、音楽家やバンド、映像制作者、ゲームなどの制作チームも利用を想定できます。 この制度を推進してきたArtist Corporations Foundationは、クリエイターの経済的・社会的な基盤を強化することを目的とする、アメリカの501(c)(3)の非営利団体です。ウェブサイ

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4 日前読了時間: 19分


アメリカは「アートを処方する」制度に向かうのか――Healthy People 2030に登場した非臨床的活動への紹介と、州レベルで進む実装
アメリカでは、アートや音楽、運動、自然、地域活動への「紹介」が健康に与える影響を、国家健康目標Healthy People 2030の研究課題として位置づける提案が出ています。 これは、いわゆる「アート処方」が連邦制度として始まったという話ではありません。しかし、マサチューセッツ州では、州文化機関が2020年から実証事業を進め、文化団体への支払い、医療機関との連携、民間保険者による費用負担まで実装が広がっています。 医療者が文化活動を紹介するだけでは、社会的処方は機能しません。紹介された人を受け入れる文化団体、医療と文化をつなぐ仲介者、参加を妨げる障壁への対応、効果測定、そして文化活動の価値に対して誰が支払うのかという制度設計が必要です。 以前取り上げたアメリカの「芸術・健康・ウェルビーイング」政策との関係にも触れながら、最新動向と文化行政の役割を整理しました。 「アメリカは『アートを処方する』制度に向かうのか――Healthy People 2030に登場した非臨床的活動への紹介と、州レベルで進む実装」 https://note.com/art

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
8月3日読了時間: 1分


アメリカのアーティストを支える「デジタル基盤」とは
アメリカでは、助成、公募、アーティスト情報、文化団体データ、公共芸術の記録を支える多様なデジタル基盤が、文化芸術分野の組織自身によって育てられています。具体的なサービスと日本への示唆を整理しました。

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
8月3日読了時間: 3分


英国の音楽政策「Turn It Up」と、日本の市民創作施設の蓄積について
2026年7月、英国政府は新しい音楽政策「Turn It Up: Our Plan for Music」を公表しました。音楽教育、草の根のライブ会場、録音・練習環境、国内ツアー、海外展開、音楽事業者への支援などを横断する計画です。 今回noteに掲載した記事では、この中でも、公共図書館にスタジオ、録音ブース、ミキシング設備、楽器などを整備する「Music in Libraries」に注目しました。 図書館で音楽をつくれるようにするという発想自体は、世界で初めて現れたものではありません。英国には以前から音楽図書館、アートセンター、Music Hubs、地域の音楽施設があります。日本にも、数十年前からコミュニティセンター、公共工房、文化ホール、メディア施設、多機能図書館など、市民が学び、制作し、発表し、施設運営にも関わるための長い蓄積があります。 記事では、三鷹市のコミュニティセンター、箕面市の文化行政、札幌芸術の森、金沢市民芸術村、せんだいメディアテーク、YCAM、メディアセブン、武蔵野プレイス、おおぶ文化交流の杜ALLobu、八戸市美術館などをた

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
8月2日読了時間: 3分


ChatGPTで専門家審査を覆せるのか――NEH助成一括取消し判決が示した文化助成の独立
米国の文化・学術助成をめぐって、専門家審査の制度的な意味を考えるうえで重要な判決が出ています。 2026年5月7日、ニューヨーク南部地区連邦地裁は、American Council of Learned Societies v. National Endowment for the Humanities/The Authors Guild v. National Endowment for the Humanitiesにおいて、全米人文科学基金National Endowment for the Humanities(NEH)が2025年4月に実施した1,400件を超える助成の一括取消しについて、第一修正および第五修正の平等保護原則に反し、さらに法定権限を逸脱したものだと判断しました。 判決は143頁に及びます。注目を集めたのは、政府効率化を担当するDOGE関係者が、助成案件を選別するためにChatGPTを使用していたという事実です。 この事件では、AI利用の適否以上に、専門家による審査を経て採択され、すでに実施段階に入っていた助成を、政治的な基

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
7月31日読了時間: 19分


「アーティスト支援」の政策言語を、どうやったら現場に即したものに書き換えられるのか-NYFAの30年間
1,日本のアーティスト支援の「壁」 日本でフリーランスの芸術家として活動されている方が助成金を申請しようとすると、まず気づかれるのが「個人/団体の壁」の存在です。 日本の公的文化助成は、個人芸術家を対象とする制度がないわけではなく、アーツカウンシル東京の「スタートアップ助成」(個人上限30万円/団体上限100万円)のように個人申請を受け付けるプログラムも存在します(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京「2025年度 第2回 スタートアップ助成」 https://fields.canpan.info/grant/detail/2324 )。しかし、助成の申請単位が個人のままでは、そのまま金額の大きなプログラムにアクセスすることはできません。 国レベルでも、芸術文化振興基金は任意団体・実行委員会を対象に含めており、法人格が必須要件ではない(独立行政法人日本芸術文化振興会「助成へ応募される方 法人格のない団体が対象となる助成一覧」 https://www.ntj.jac.go.jp/kikin/grant/applicant/form0

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
5月25日読了時間: 22分


「盗まれた誇り」と文化政策——ホックシールド・インタビューを読んで考えたこと
朝日新聞(2026年5月2日)に掲載された社会学者アーリー・ホックシールドへのインタビューを読み、文化政策研究者として見過ごせない論点が多数あったので、ファクトチェックも交えながら自分の考えを整理しておきたいと思います。 (会員の機能で有料記事をシェアプレゼントいただいた風間勇助先生、ありがとうございます。) アーリー・ホックシールドは1940年生まれ、カリフォルニア大学バークリー校の名誉社会学者です。「感情労働」の概念を提唱した『管理される心』(1983年)で知られ、近年はアメリカの保守地域への参与観察をもとにトランプ支持層の感情構造を分析してきました。最新著『盗まれた誇り——喪失と恥と右派の躍進(Stolen Pride: Loss, Shame, and the Rise of the Right)』は2024年9月に刊行され、バラク・オバマ元大統領の推薦リストにも入った話題作です。日本語版は布施由紀子訳で2025年3月に岩波書店から出ています。 今回のインタビューはケンタッキー州パイクビルでの6年間・80人以上へのインタビューに基づく研究

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
5月25日読了時間: 21分


PAiD(有給)というプログラム名は何を意味しているのか——LA郡における公共芸術の制度設計の更新
「PAiD(Public Artists in Development)」。このほどロサンゼルス郡政府芸術部局Department of Arts and Culture(以下、Arts and Culture)が立ち上げた新しい公共芸術プログラム(https://www.lacountyarts.org/opportunities/public-artists-development-program )には、あえて「Paid(有給)」を想起させる名称が付けられています。この直球のネーミングは、どこに意味があるのでしょうか。 このプログラムはAndrew W. Mellon Foundationによる助成金を財源として、LA郡Arts and CultureのCivic Arts部門が実施するもので、プログラムの開発と運営にはアートコンサルタントのDyson & Womackが支援に入っています。 参加アーティストは単に研修に参加するだけではなく、一定額の予算や報酬が明示的に付与されます。たとえば、Artist Councilプログラムに選ばれた

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4月25日読了時間: 9分


なぜ反DEIへの逆風のなかでも「公平性」は生き残るのか ― 非営利芸術文化活動実務者の全国組織「GIA」の2026年方針を読む
非営利芸術文化活動実務者のハブ組織GIAの2026年方針を読む このブログでは以前の記事で、アメリカの芸術文化分野における多様性や公平性をめぐる取り組みが、近年のDEI(Diversity, Equity, Inclusion)言説によって突然出てきたものではなく、障害者アクセシビリティ、雇用政策、文化機関の人材育成、有給インターンシップといった、より長い制度的蓄積の上に成り立っていることを書きました。文化へのアクセスを広げることと、分野の担い手の多様性を確保することが、かなり以前から連続した課題として扱われてきた、という見取り図を示したつもりです。 ただ、そのような説明に対しては「歴史的な系譜があるとしても、反DEIの政治的バックラッシュがここまで強い以上、現場も結局は実質的な方針転換を迫られているのではないか。少なくとも、芸術文化活動の実務においてまで、枠組みが維持されていると言ってよいのか」という疑問も当然あるかと思います。 たしかに2025年以降、連邦レベルではDEIに対する政治的攻撃がいっそう可視化し、「DEI」という語そのものを掲げる

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月20日読了時間: 17分


「NCAPER」20周年から学ぶ:日本の芸術・文化業界がいま構想すべき『協調的セーフティネット』
文化芸術業界に長い方でも「 NCAPER 」(エンケイパー)こと National Coalition For Arts' Preparedness の名前を初めて聞く方が多いでしょう。直訳すると「全米芸術準備連合」ですが、もうすこし砕いて「 全米芸術準備・緊急対応連合 」と言うと少し想像しやすくなるかもしれません。 2026年3月に設立20周年を迎えたこの団体は、アメリカの芸術セクターにおける「災害のためのセーフティネット」のつくり方そのものを変えてきた存在で、20周年の区切りを迎えたいま、全米の文化政策関係者から改めて注目され、言及されています。SNS上でも、NCAPERの20周年は文化団体や州芸術機関がシェアするかたちで拡散されており、NCAPERが単なる一団体ではなく、「危機のたびに頼りにされる、芸術セクターの共通基盤」として認知されていることを物語っています。 NCAPER ロゴ 2005年のハリケーン・カトリーナとリタの被害とするボランティアベースのタスクフォースとして始まったNCAPERは、この20年で、 単発の救済基金から「全国規

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月17日読了時間: 25分


パブリックアートの記憶は誰が守るのか——持続可能なアーカイブの設計思想
《Seven Magic Mountains》Ugo Rondinone 砂漠での蛍光色との出会い 10年ほど前、仕事でアメリカに赴任していた頃の話です。グランド・キャニオン方面への家族旅行で、幼い子どもたちとパートナーを自家用車の後席に乗せてロサンゼルスを発ち、まずはキャンピングカーを借りにラスベガスへと向かう途中のこと。寝ていたと思った後席のパートナーが「なんか変なものが見える!」と叫びました。目を向けると右手の砂漠の中に、確かにちょっと人工的な、塔のような、しかし遠目には岩と砂の風景に溶け込むようなシルエットが見えました。だんだんと近づくと、ポップな蛍光色——ピンク、オレンジ、黄色、青——に塗られているようでした。 ラスベガスまではその前年にも仕事で運転して行ったことはありましたが、そのときには確かにそんなものはなかったので、「あれは何だろう? 何かイベントの準備か撤収の途中なのかな」などと思いました。 すると、スマホで調べていたパートナーが「あれ、ウーゴの作品だよ!ウーゴ・ロンディノーネ!」と教えてくれました。彼女は2011年の横浜トリエ

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月16日読了時間: 19分


アートワーカーの多様性を確保するための政策はどこまで拡がっているか
「学生が夏休みにインターンをする機会が制度化されました。選ばれる必要はありますが、採用されたら有給で、最大週33時間、8週間勤めると、124万円の報酬を受け取れます。」と聞いたら、驚きますか? これが、例えば金融業界の話で、対象もエリート大学生だったら、「まあそんなもんじゃない?」と思う人もいるでしょうが、実はこれは美術館や劇場などの文化機関で、将来的に働く人の多様性を確保し、職場の持続可能性を強化するために行われている、 公立校の高校生向けプログラム なのです。 ただし、残念ながら日本の話ではありません。 筆者注:筆者は平成30年度文化庁委託事業「諸外国の文化政策等に関する比較調査研究」の成果報告書の一部をなす 『ダイバーシティと文化政策に関するレポート』(平成31年3月) において、アメリカ合衆国部分を担当した。本稿は特に学生等への有給インターンに着目して、上記調査から約8年を経た現時点での状況を追い、制度の源流から、どのように発展し、逆風のなかで何が持続しているかを記録するものです。 ブルームバーグ慈善財団による資金提供...

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月15日読了時間: 22分


アーティスト/フリーランスのアートワーカーの持続的活動と「リビングウェイジ」——文化政策が報酬問題に向き合う方法論
昨日公開した「、 組織で働くアートワーカーの給与に関するアメリカでの労働慣行の改革についての簡単なまとめ記事 が反響を得ました。中には「自分は日本で何度もアンケートなどに答えて、データ化もされたけれど、そこから議論が起こるわけでもなく、個別案件のまま、問題集約もされなかった」という声もありました。そこで、あらためて アーティストを含むフリーランスのアートワーカーの報酬問題についての最新状況と、そこに至るアプローチに関する記事 を執筆することにしました。 ※今回は芸術業界全体の状況が中心となります。なお為替レートは最新のものにもとづき1ドル=159円、1ポンド=215円で計算しています。またURLリンクは末尾にまとめました。 アーティストやアートワーカーは「好きなことをしているのだから、お金のことは二の次でいい」——そんな暗黙の了解が、文化セクターに深く根を張っています。しかしその前提を問い直す動きが、政策の言葉として国際的に広がりつつあります。 キーワードは「リビングウェイジ(Living Wage)」です。 リビングウェイジとは何か...

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月14日読了時間: 24分


怒りはデータに、データは制度に――米国美術館アートワーカー労働運動の三段階と日本への問い
「好きなことを仕事にできているのだから」。アート業界で働く人々が、低い報酬や不透明な処遇を前にしばしば向けられてきた言葉です。本ブログではアーティストやクリエイターへの公正報酬について取り上げてきましたが、文化・芸術への「情熱」が、適正な対価を求める声を封じる口実として機能してきた構造は、作品の作り手に限った話ではありません。美術館・ギャラリー・劇場といった文化機関において、給与水準は長らく非公開とされ、横断的な比較も困難なまま放置されてきました。その結果、低賃金・不安定雇用・昇進機会の不透明さが「業界の常識」として内面化され、当事者自身が問題として言語化することを躊躇う状況が続いてきました。日本のみならず、アメリカを中心に海外でも同様の問題が水面下で拡大してきましたが、可視化されにくいまま放置されてきたとも言えます。 しかし昨今、こうした慣習は改められなければならないという認識が広まっています。優秀な人材が業界を離れ、多様な背景を持つ人々が入口で弾かれ続ける構造は、文化機関、ひいては文化セクターそのものの持続可能性を脅かす問題です。美術館や劇場

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4月13日読了時間: 9分


開幕まで1カ月、揺れ続けるヴェネチア・ビエンナーレ——ロシア復帰・イスラエル論争・EU圧力の三重苦に出口は見えるか
ヴェネチア・ビエンナーレとは何か——その130年の歴史 ヴェネチア・ビエンナーレ(ヴェニス・ビエンナーレとも)は、 1893年4月19日のヴェネチア市議会の決議 に端を発し、ウンベルト1世とマルゲリータ王妃の銀婚式を祝う国内芸術展として構想されました。 第1回展は1895年4月30日に開幕し、初回からおよそ22万4,000人の観客を集めました 。もともとイタリア国内向けの展覧会でしたが、翌年には外国人アーティストへの招待制が導入され、すぐに国際色を帯びていきます。 20世紀を通じてビエンナーレは、近代芸術の変遷をそのまま映す場となりました。 ファシズムの時代には政治的プロパガンダの舞台ともなり、戦後の民主化のなかで冷戦期の西側芸術を象徴する場に転じ、1960〜70年代には前衛芸術運動の震源地 となりました。 そのなかでもとりわけ象徴的な出来事が、1964年のビエンナーレです。ロバート・ラウシェンバーグがアメリカ人として初めてグランプリを受賞したこの年、アメリカ政府は大型の絵画作品をヴェネチアに輸送するにあたって軍艦(軍用艦艇)を使用したという逸話

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月12日読了時間: 9分


ニューヨークの不動産事情とアメリカ美術の没落――ジョシュ・クライン「New York Real Estate and the Ruin of American Art」
この記事について 今回は、キュレーターの天野太郎さんに教えていただいた、ジョシュ・クラインの論考 「New York Real Estate and the Ruin of American Art」 を紹介します。 この論考は OCTOBER 195号(Winter 2026)に掲載されたもので、掲載ページは91–109頁です。 またこの文章は、 October 誌の継続企画「Art Communities at Risk」の一篇でもあります。 MIT Pressのウェブサイトから要約と全文PDFを読むことができます 。 このエッセイは、ニューヨークの不動産価格の高騰が、アーティストの生活、制作、展示、販売、さらには作品形式そのものにまで影響を及ぼしているという問題を、かなり正面から論じた文章です。 公開後まもなく、この論考はニューヨークのアート界で広く話題になり、メディアの論評だけでなく、実務者のあいだの会話やオンライン・コミュニティでも継続的に参照されるテキストとなり、2026年4月6日付けのUSA Art Newsの記事では「cityw

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月11日読了時間: 31分


非営利・公的活動マーケットで、美術家はどうキャリアを組み立てるか
継続性、オリジナリティ、芸術的卓越性、コネクション、そして小さな体制づくり ヴィジュアルアーティストのキャリア形成を考えるとき、商業市場だけを前提にした語りでは捉えきれない領域があります。自治体、文化財団、美術館、アートセンター、NPO、大学、福祉・教育・地域連携事業、助成を得た自主企画、リサーチ、ワークショップ、記録やアーカイブ、コーディネートやファシリテーション。 パブリックアートやソーシャリー・エンゲイジド・アートといった呼び名や形態も多様です。こうした非営利・公的活動マーケットは、収益構造が見えにくい一方で、実際には多くの美術家にとって重要な活動基盤になっています。 近年、さらに踏み込んで公的領域のデザイン・パートナーとしてアーティストに関わってもらう「Artist- Municipal Partnarship」という言葉も出てきています。これは自治体がアーティストを単なる「賑やかしのための請負業者」や「イベントの客寄せ」として消費するのではなく、地域の課題解決、都市計画、あるいは市民のシビックプライド醸成における「共同制作者」として位置

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月10日読了時間: 14分
![日本芸能実演家団体協議会[芸団協]による映画・テレビ、美術、音楽分野を含む調査報告書が語るもの](https://static.wixstatic.com/media/579bfd_2ce4743a89044a6f9c32e0680456b7bd~mv2.jpg/v1/fill/w_333,h_250,fp_0.50_0.50,q_30,blur_30,enc_avif,quality_auto/579bfd_2ce4743a89044a6f9c32e0680456b7bd~mv2.webp)
![日本芸能実演家団体協議会[芸団協]による映画・テレビ、美術、音楽分野を含む調査報告書が語るもの](https://static.wixstatic.com/media/579bfd_2ce4743a89044a6f9c32e0680456b7bd~mv2.jpg/v1/fill/w_454,h_341,fp_0.50_0.50,q_90,enc_avif,quality_auto/579bfd_2ce4743a89044a6f9c32e0680456b7bd~mv2.webp)
日本芸能実演家団体協議会[芸団協]による映画・テレビ、美術、音楽分野を含む調査報告書が語るもの
公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会[芸団協]さんは、実演芸術家の権利擁護を中心とした団体で、実演家・芸術家・スタッフ等の不定期な働き方をふまえて、2022年度より、「芸術家等の社会保障」について、国内外の取組の研究を進めておられます。 2025年度には対象を広げ、実演芸術以外の芸術活動(映画・テレビ、美術、音楽)を対象として調査をされています。このほど、報告書を公表されました。 報告書では、過去の調査研究もふまえて、現状と課題を整理しています。 https://geidankyo.or.jp/archives/5619 今回のブログでは、この報告書の内容を紹介していきます。 なぜ今、「芸術家を支える仕組み」が必要なのか 新型コロナウイルスの感染拡大によって、コンサートや舞台公演、美術展など、多くの文化イベントが中止や延期に追い込まれました。 その結果、芸術家や実演家の収入は一気に落ち込みましたが、失業手当や休業補償のように、自動的に救ってくれる仕組みはほとんどありませんでした。 この経験を通じて、日本の文化芸術を支える人たちの生活基盤が、いか

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4月9日読了時間: 14分


トランプ政権のFY2027予算要求、NEA予算を2億ドルから2,900万ドルへ大幅縮小提案―米国芸術文化政策の攻防
米国の州芸術機関ネットワークであるNASAA(National Assembly of State Arts Agencies)から、2026年4月6日付で「President’s FY2027 Budget Proposes Minimal NEA Funding」と題するメールニュースが配信されました。 同機関で立法顧問を務めるIsaac Brown氏による呼びかけの形式をとった この文書によれば、トランプ政権は2027会計年度予算要求において、National Endowment for the Arts(NEA)の予算を現行の約2億700万ドルから約2,900万ドルへと大幅に減額し、機関の段階的な終了を意図しているとされています。 ※なお、日本の会計年度は期首が属する年で表記しますが、米国連邦政府の会計年度は前年10月1日から当年9月30日までであり、FY2027は2026年10月1日から2027年9月30日までを指します。 つまり表記は期末月が属する年となる点に注意が必要です。 NASAAは今回の提案に失望を表明しつつも、昨年の提案や第

Arts&Considerations Tomoki Sakuta
4月8日読了時間: 9分


地域文化政策のインフラを可視化する——『アーツカウンシル・ネットワーク年鑑2025』が問いかけるもの
2026年3月付けで、『アーツカウンシル・ネットワーク年鑑2025』が公開されました。 本稿では、この年鑑を単なる全国団体の一覧資料として紹介するのではなく、日本の地域文化政策が現在どのような構造的課題に直面しているかを映し出す記録として読み解いていきます。 日本のアーツカウンシルとは何か まず、「アーツカウンシル」という概念の整理が必要です。文化政策の文脈においては一般的に、20世紀なかばに設立された「アーツカウンシル・オブ・グレート・ブリテン (英国芸術評議会)」とその後継機関である「アーツカウンシル・イングランド」をモデルとした 、英連邦に広く見られる「アームズ・レングス」(政府からの一定の独立性を保った)の芸術振興・助成の専門機関を指します。 ※ただし主に米国での例ですが、市や郡など小規模な自治体レベルでの「Arts Council」の名を持つ団体の中には、芸術関係者による芸術団体そのものである場合もあることに注意が必要です。 これに対して日本では、もともと横浜市のACY(アーツ・コミッション・ヨコハマ)のように、一部の大規模な自治体にお

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4月3日読了時間: 10分
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